ヨーロッパではEUのプロジェクトとしてVirtual PhysiologicalHuman(VPH) Projectが進行中です。このVPHプロジェクトではProf. Peter KohlとProf. Peter Covneyの二人がプロジェクトリーダーとして活躍しています。今回京都で7月に開催された国際生理学会に出席するために来日したコール教授のグループと、我々の生命体統合シミュレーションの間で情報交換し、今後の共同研究の可能性について話し合うワークショップを7月31日理研(和光)で開催しました。コール教授のグループはVPHの中でOxford大学を中心とした研究者が集まり、心臓全体のシミュレーションによる医療貢献を目指しています。
今回理研を訪ねられたのはコール教授、スミスさん、マシンドラさん、クイーンさん、そしてつい最近までオックスフォードで研究員だった岡山大学の入部先生です。最初にまず、一行を理研の持つ3次元内部構造顕微鏡※や引っ張り試験器などの実験装置、および理研の新しいスーパーコンピュータRICCと4次元可視化システムに案内しました。3次元内部構造顕微鏡※とスーパーコンピュータには大きな興味を示されていました。その後、会議室に移り、茅プログラムディレクターの理研の紹介を含め、双方のプロジェクトを紹介し、議論を通じて内容の理解を進めました。今回は広い話題に議論が広がり発散気味となったため、次回10月頃英国で開催すること(場合によってはTV会議)、それまでに互いにEmailで連絡をとり、提案の検討を進めることが確認されました。その後、今後、互いに協力可能な事項の抽出・提案とともに、今後更に深く互いに共同で取り組めるテーマについて議論しました。なお、今回我々のプロジェクトからは茅プログラムディレクター、高木臓器全身スケール研究開発チームリーダとチーム員他、北陸先端大の松澤先生、横田細胞スケール研究開発チームリーダーとチーム員、理研・情報基盤センター職員と姫野(レポーター)が参加しました。
※凍結包埋した生体試料を薄く削りながら断面を連続的に撮影し、最終的には試料全体の3次元映像を得る装置。顕微鏡、レーザーと組み合わせることで十ミクロンの分解能で観察可能
BioSupercomputing Newsletter Vol.1