現在国内外において、コンピュータ・シミュレーションや大規模データ解析によって生命体における個々の現象を統合的に理解し予測を行う計算生物科学が急速に進展しつつあります。このような動向を受け、特にペタフロップスを越える性能を持つスーパーコンピュータによって初めて大きく進展し得るこの研究領域を発展させるために、研究者有志が集まり発足させたのが「バイオスーパーコンピューティング研究会(BSCRC: BioSuperComputing Research Community)」という研究会組織です。
「バイオスーパーコンピューティング研究会 」は2008年12月に設立準備委員会による最初の提案が行われ、その後81名という大勢の設立発起人(2009年5月現在)により2009年7月1日に発足した生まれたばかりの研究会です。
研究会では、個体、器官、組織、細胞、分子の様々なレベルにおける計算生物科学の研究およびそれを統合する研究を対象とし、医学、細胞生物学、分子生物学、生化学、生物物理学、薬学、化学、物理学、工学、情報科学等さまざまな分野の産官学にわたる研究者が集い研究者間交流を図る場の醸成、さらには国際的や連携や情報発信を推進することを目的としています。すでに約100名の会員が参加しています。
研究会では「次世代生命体統合シミュレーションソフトウェアの研究開発」の進展を見据えながらも、より広い長期的な視点で、さまざまな分野の大学、研究機関、民間企業の専門家、特に若い研究者の力を結集して、スーパーコンピュータを活用した新たな生命科学の学問文化の花を開かせるために活動することを目的としています。また、そのようなコミュニティーの場を提供する役割を果たすために活動を進めていきたいとしています。研究会に参加ご希望の方はwebページの入会案内(URL: http://www.bscrc.jp/apply.html)をご覧ください。
バイオスーパーコンピューティング研究会 第一回総会研究会発足二ヶ月半後の2009年10月8日、台風による都心交通マヒのさなか多数の会員参加によって第一回総会が開かれ、設立準備委員の5名の方が次のとおり初代の研究会役員に選出されました。
会長 | 中村 春木 | 大阪大学 蛋白質研究所 附属プロテオミクス総合研究 センター長・教授 |
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副会長 | 姫野 龍太郎 | 理化学研究所 次世代計算科学研究開発プログラム 副プログラムディレクター兼グループディレクター・情報基盤センター長 |
理事 | 秋山 泰 | 東京工業大学 大学院情報理工学研究科 教授 |
木寺 詔 | 紀横浜市立大学 生体超分子システム科学専攻 教授 | |
末松 誠 | 慶應義塾大学 教授、医学部長 |
第一回総会では、設立して間もないこともあり当面は年会費無料、研究会主催の講習会やセミナーについては参加費有料とする理事会案が承認されました。一方、年会費を有料化することで安定した研究会運営や研究会プログラムの充実を図ることの重要性についても第一回総会で議論されました。この件については引き続き理事会で検討が進められるということです。
BioSupercomputing Newsletter Vol.2